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『モテおじカス男の人生録』第2回

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〜高校時代・女子大生の思い出〜

前回、中学時代に学年人気1位の女子と付き合うという、今思えばその後の人生によろしくない成功体験をしてしまった話を書いた。

今回はその続き。
高校時代、ボクが“年上の女性”という生き物に、見事に翻弄された思い出である。

第二章:高校時代 〜女子大生の思い出〜

ボクが育ったのは地方の中堅都市である。高校は公立の進学校に進学した。

当時は「県内TOP3に入る進学校なんぞ、女子は行かないだろ」というような、昭和ならではの価値観がまだ色濃く残る時代だった。1クラス40人程度の中に女子5人前後という、血気盛んな男子たちには何とも悲しい人口構成の学校である。

しかもこの時代、勉強に忙しい女子たちはメイクやオシャレに割く時間がなく、素朴な子が多いご時世だったから、悲しさはなおさらである。

これに対して女子たちは、8:1という驚異の男女比の結果、ほぼ全員がモテたのだから、まさにパラダイスである。

なお彼女たちの名誉のために付け加えると、10年ほど前にこの高校の同窓会が大々的に催されたのだが、そこに集まった淑女の皆さんは本当にお奇麗になられていた。当時、通学電車で見かけた商業高校の女子たちは、お化粧ばっちりで色気があったものだが、要は環境とタイミングの問題だったのだろう。

さて、そんなむさ苦しい高校生活では、恋バナの思い出話などそうそう生まれるはずもない。
中学時代の学年マドンナ・Sさんは別の女子高に進学したため距離が離れてしまい、くっついたり離れたりで、もはやお付き合いしていると言えるほどのものではなくなっていた。

そんな高校2年生の夏休み。
田舎の高校生でも、ちょっと大人になった気分で通う“行きつけ”の喫茶店があった。(ボクらが勝手に“行きつけ”と言っているだけで、おそらくマスターはそう思っていない。)

その喫茶店で、昭和を代表する国民的美人女優に似たウエイトレスに目を奪われた。中堅都市ながら、わが街には大きな私立大学があったので、そこの女子大生と思われた。

お店の中で何度も目が合い、そのたびに微笑んでくれる。
17歳のボクがどんな精神状態になったかは、察していただけるだろう。

同じ部活の2人の友達と店を出て、喫茶店の隣の公園のベンチでボクらはバイト上がりの彼女が出てくるのを待った。それほど長い時間を待つこともなく、彼女は喫茶店の入り口から出てきた。

「ほら、行って来いよっ!」

友達に(物理的に)背中を押され、駅の方向へ歩く彼女を小走りで追いかけた。

「すいませんっ!」

彼女はびっくりした感じで振り返ると、

「あ、さっきの……(^^)ニコッ」

「あのぅ……電話番号、交換してもらえますか?」

ボクは自分の番号を書いた紙きれを差し出した。

「あ、うん、いいよ。ちょっと待ってね」

彼女はハンドバッグから赤いおしゃれな手帳を取り出すと、それに数字をササッと書いてボクにくれた。持ち物も動作も、なんだかとてもスマートに見えた。

※この時代はまだ携帯電話が世に登場していないので、ナンパはもっぱら“固定電話の番号ゲット”が第一歩であることをご理解いただきたい。

彼女は、ボクの家の隣の駅に住んでいるようだった。

この時代、ボクの家では、女の子に電話するための大切な手順があった。
コードレス電話機などもない時代なので、固定電話は皆の集まるダイニングに1台だけ置いてある。そこで、束にされた余分なコードを伸ばしながら部屋の外まで電話機を移動させ、電話線を挟まないように廊下とダイニングを隔てるドアを閉める。これでやっと彼女に電話する準備完了だ。

ボクは廊下に座り込んでダイヤルを回した。
呼び出し音が鳴る間、彼女のお父さんが受話器を取らないよう神に祈った。

「もしもし、○○です」

若い女の子の声を聞いて、ボクはホッとした。

「あ、この前番号交換した……」

「ああ、うんうん、わかるよ! 早速電話してくれたのね、ありがとう!」

それから30分ほど会話をして、その最後に、ボクは意を決して彼女を映画に誘った。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「あぁ、その映画ね。わたし、それカレシと観に行っちゃったんだよねー。他のにしない?」

「え? カレシいるんだ……(;’∀’)」

「うん、いるよ。バンド仲間なの」

「……で、オレとも電話? 映画もいいの?」

「カレシいたって、電話くらいいいでしょ? え? なんで? ダメ?」

ボクは、とてつもない敗北感に打ちのめされた。
女子大生といっても、たかが2〜3歳年が離れているだけである。なのに、これほどの恋愛観の相違があるとは。衝撃が強すぎて、頭が真っ白になった。

※ボクの名誉のために言っておくが、携帯電話のない昭和の、しかも田舎町で、家の電話で夜に電話しあうことは、現代に置き換えると「夜にSNSアプリでビデオ通話する」くらいの距離感を意味していた。決してボクが前のめりに勘違いしていたわけではない。……はずである。

高2の夏休みの、いわゆる甘酸っぱい思い出は、こうして終わった。

高校生のボクにとって“女子大生”は、同じ高校の先輩女子とは違った、大人の魅力があった。
彼女の自由な恋愛観は、純情無垢な恋愛観を抱きしめていた少年を崖底に突き落としたわけだが、それでもなぜかボクは、次はもっとうまくやれそうな妙な自信を得たのであった。

今振り返ると、このあたりからボクの中に、よろしくない何かが育ち始めていた気がする。
まだ“カス男”と呼ぶには早い。だが、苗は確実に植えられていたのである。

ーーー

次回は、高校時代のもうひとつの出来事——
友人の姉との、不思議な一日について書いてみようと思う。

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この記事を書いた人

若い頃のボクは、自分ではそこそこ真面目なつもりだったのですが、今思い返すと、恋愛に関してはだいぶ危なっかしい男でした。見栄を張る、勘違いする、浮かれる、落ち込む。その繰り返しです。このブログでは、そんな昔の話を、少しの反省とかなりの自虐を込めて書いています。反面教師として読んでいただければ幸いです。

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