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『モテおじカス男の人生録』第8回

Y子さんの部屋で、ボクは襖を越えられなかった

このブログでは、若い頃の恋愛、勘違い、見栄、失敗を自虐多めで振り返っています。笑い話っぽく書いていますが、本人としては当時それなりに本気でした。

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冒頭で、ボクの学生時代のイツメンが男子4人+女子2人と言ったと思うが、もう一人の女子はY子という名だった。漫画のような話だが、このY子さんをZ夫さん以外の2人の先輩が取りあっていた。

Y子さんはOという街に住んでいた。O市はボクの実家のあるM市と山を一つ挟んだ場所に位置していた。大学のある大都市に住んでいたボクはたまに実家に帰るのだが、この時にO市で電車を乗り換えなければならなく、またその接続がすこぶる悪くて、O市駅で1時間待たなければならないことも珍しくなかった。

そんな話をいつものメンツ(イツメン)で飲んでいる時に話すと、

「じゃあ電車の接続時間が悪いときはウチに電話しなよ、駅まで迎えに行ってあげる。」
とY子さんが言ってくれた。

「おめぇ絶対電話するんじゃねーぞ!」
2人の先輩から恫喝された。

「いいじゃん、駅で待つのかわいそーだし、家で話すだけだよ?」
Y子さんはひとり暮らしである、彼女を取りあってる先輩たちにとってはいいはずがない。

「しませんって、心配無用ですよぉ」
ボクは言った。

■ 禁断の電話

それから数か月経ったある日の夜、ボクはO市駅にいた。M市行の電車をタッチの差で乗り過ごし、次の電車(しかもそれが終電)まで1時間半も待たなければならない。途方に暮れたボクは先輩との約束を破り公衆電話からY子さんに電話した。

「もしもーし」
「あ、もしもし、ハジメです。」
「え、ハジメくん、どーした?」
「あ、いえ・・・あのぅ・・・・・いまO市駅にいるんですけど・・・」
「あーー-笑、時間あるのね。わかった、今から迎えに行くから駅前のロータリーに居て。」

意外に簡単だった。先輩二人に背いた罪悪感よりも、女性の先輩のひとり暮らしの部屋にこれから行く現状にボクはドキドキだった。ほどなくして赤い車で登場した彼女の助手席にボクは乗り込んだ。

「すみません・・・」
「いいんだよ、あたしもちょうど暇してたし笑」
彼女は屈託のない笑顔でそう言った。

Y子さんのマンションは10階建てで、屋上にはプールもあるらしい。そういえば彼女は社長令嬢かなんかで、実家はお金持ちだったっけ。

「どうぞー。あ、散らかってるけどごめんね」

うながされて入ったリビングルームは畳の上にこたつテーブルが置いてあった。隣の部屋も和室で襖で仕切られていた。襖の隙間から布団が見えたので、彼女の寝室であることがうかがえた。
『社長令嬢の部屋』から『洋風のリビングにイタリアンテイストの家具』を想像していたボクの期待は裏切られたと同時に緊張が一気に解けた。

「ジジくさい部屋でしょ?パパがね、和室好きなのよ笑」
「いや、なんか落ち着くんで、ボク的にはアリです笑」

リラックスしたボクとY子さんは、イツメン内の恋バナ等々で盛り上がった。

「Y子さん、どっちと付き合うんですか?」 
「うーん、どっちってことはないんだけどさ、こういうのって一方と付き合うとグループ崩壊するじゃん。それがね・・・」
「え、ハジメ君はさT美のこと好きだったんじゃないの?」
「あ、え?なんで?そんなことオレ言いましたっけ?」
「笑笑。T美から聞いてるよ、公園デートや長電話の話」
「・・・笑。全部バレてるんすね。でもT美さんもうZ夫さんのカノジョだし・・・」
「そうねぇ・・・お互い思うようにいかないね~(-。-)y-゜゜゜」

「あっ!」

「え、どうしたの???」
「で、電車が・・・・・」
「行っちゃった・・・(;’∀’)」
「あー、ほんとだー、ちょっと盛り上がりすぎちゃったね、私たち笑」

また彼女は屈託のない笑顔だ。

「てかどうしよう、オレ帰れないっすよ・・・」
「大丈夫だよ、私が送るから!」

彼女の家からボクの実家までは、車で山を越えれば40分ほどで着く。でも送ってもらうと彼女はまた夜中の山道を一人で帰らなければならない。それが申し訳ないの半分、心配なの半分でモジモジしていると、

「てかさぁ、私も夜の山道一人で運転するの怖いからさ、明日の朝送るわ。今日は泊ってって!」

「え!?」
「いいんですか?マジで・・・。これオレが先輩に殺されるパターンじゃないっすか?((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
「いや大丈夫よ笑。別に何するわけじゃなし(^.^)」
また屈託のない笑顔だ。

そんなわけで、女子先輩の家で一泊させてもらう運びとなったボク。この後を無駄に妄想している読者のために先に言うが、この晩は何も起こらなかった。
実に残念な一夜だったのである。

■ 開いたままの襖

「シャワー浴びてきなよ。タオル置いておいたから。」

先輩は無邪気に言うが、無防備なのか、ボクのことをもてあそんでいるのか皆目見当がつかなかった。ただただ夜に向けて緊張感が増していくのを感じていた。
シャワーから出てくると、さっきまでこたつテーブルがあった場所に布団が敷いてあった。

「私さ、今からシャワるから、ハジメ君先に寝ていいよ」

そんなこと言われても、19歳男子がはいそうですかと眠れるものではない。目はギンギンだし、もちろん目以外もだ。

「あれ、まだ寝ないの?自分ち以外だと寝れないタイプ?笑」
ボクの布団をまたいで先輩は隣の部屋に入っていった。

「こんな状況で寝れるわけないじゃないっすか」
ボクはちょっとマジに言った。

「え?ああ笑。緊張してるの?おもしろ―い(#^.^#)」
屈託のない笑顔が腹立たしい。

「私さ、こっちの部屋の寝るけど、絶対に来ちゃだめだよ!ダメだからねっ!」
そう言って先輩は布団に入った。

え?なぜ布団に入ったのがわかったのかって?

先輩は襖を全て閉めずに人幅ほど開けたまま床に就いたのだ。

≪それでおまえ、ヤんなかったの???≫
皆さんの声が聞こえてくる。

ええ、そうなんです。女性経験も少なく、女心も全く理解不可能な当時のボクには、どうしても襖を超える勇気がなくて、悶々とした気持ちのまま寝落ちしてしまったのです。スミマセン💦

≪でも必ずヤれたかどうかわからないじゃん≫
≪ヤっちゃったら、先輩とのこともあるしイツメン崩壊したんじゃ・・・≫
もちろんその可能性もある。

ただここで私が学んだことは、ヤれたかヤれなかったかは、目の前を通り過ぎるチャンスを掴んでみなければわからない。でないと一生答えのない思い出に悶々とし続けなければならないということである。

『目の前を通り過ぎるチャンスは失敗を恐れず“とりあえず”掴むべし』

ボクはカス男に向けてまた一つ大人になった。

次の日の朝、先輩はボクに朝食を振る舞ってくれた後、M市まで送ってくれた。別れ際に窓から手を振る彼女の屈託のない笑顔が今でも思い出せる。

はぁー・・・・・・・。女心は本当にわからない。

ボクがY子さん宅に泊まったことは一瞬で先輩たちに広まった。後で聞いたのだが、ボクが風呂を借りている間に先輩のうちの一人が電話してきて、Y子さんがボクがいることを話したらしい。この後の最初のイツメン集会で、Y子さんを取り合う2人の先輩から小突かれまくったことはお話しなくても容易に想像がつくだろう。

ーーー

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
今思えば、あれを試練だと思っていた時点でだいぶ危ないですね。
でも当時のボクは本気でビビっていたんです……。

次回は、就職内定を機に、ボクが本格的に「カス男」へと転げ落ちていくお話です。

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この記事を書いた人

若い頃のボクは、自分ではそこそこ真面目なつもりだったのですが、今思い返すと、恋愛に関してはだいぶ危なっかしい男でした。見栄を張る、勘違いする、浮かれる、落ち込む。その繰り返しです。このブログでは、そんな昔の話を、少しの反省とかなりの自虐を込めて書いています。反面教師として読んでいただければ幸いです。

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